ノートルダムの鐘大人向きな理由

ミュージカルノートルダムの鐘は大人向きな理由と初演ベルリン版との深い関係

劇団四季 ノートルダムの鐘

ミュージカルノートルダムの鐘が”大人向き”な理由と初演ベルリン版との深い関係とは

更新日:

via: pixabay.com

 

 

前回記事:劇団四季ノートルダムの鐘 オペラ座の怪人との12個の共通点とは

 

 

みなさんこんにちは!禁断 @J_kindan です。

 

劇団四季の新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』(東京公演:JR東日本アートセンター四季劇場[秋]、2016年12月開幕)について薀蓄を語るというシリーズ記事です。

 

 

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ミュージカル『ノートルダムの鐘』を徹底的に大人向きにした理由は世界初演版にあった?殆ど知られていないベルリン版ってどんなミュージカルだったの?

 

 

以前書きました、この記事(劇団四季ノートルダムの鐘のベースとなっている北米プレミア版とは?)では、このように書いて締めくくっていました。

 

この『ノートルダムの鐘』のミュージカル版には、北米プレミア版よりもかなり前に、原点となる世界初演版が存在し、約3年もロングランしていた・・・という話。

そして、なぜこの『ノートルダムの鐘』北米プレミア版(劇団四季版)は徹底的なまでに「大人向き」作品であるのか。その秘密は世界初演版の出来にあった?

はたまた、北米プレミア版と、世界初演版との違いとは?

これらの話は、次の機会に書いていきますね。

 

今回はこの予告通り、ミュージカル『ノートルダムの鐘』北米プレミア版(すなわち、今度上演する劇団四季版)の元となった世界初演・ベルリン版とはどういうものだったのか?

という解説をサクッとしていきます。

 

実は、今回の劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』は、「大人向きですよ!」とかなり強調しています。

それは、世界初演を飾ったベルリン版と関係していた?・・・というお話です。

 

 

 

 

この記事のネタバレ具合:ネタバレちょっとあり

 

一切何の知識も入れず、舞台を楽しみたい人には、この記事はオススメできません。

 

 

 

ミュージカル ノートルダムの鐘 世界初演は微妙な出来だった?

 

最初に結論を言ってしまえば、ミュージカル『ノートルダムの鐘』世界初演ベルリン版(現地題名:Der Glöckner Von Notre Dame、デアグロックナー・フォン・ノートルダム、1999年初演)は、当時ドイツ最長ロングラン記録となる3年間もの上演を続けたものの、その後、ブロードウェイへ異動しての上演はかないませんでした。

 

日本では殆どその存在を知られていないベルリン版

日本ではこのベルリン版ノートルダムを知る人はあまりいません。

 

劇団四季ノートルダムの鐘はノートルダム・ド・パリとは違う!よく勘違いされていることとは

この記事でも書いたように、フランスのミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」が今回の四季版の元だと思っている(勘違いしている)人の方が多いのかなと思います。

 

これはまったくベツモノなので、間違えないようにしてくださいね。

 

 

ディズニーテイストを多く取り入れていたベルリン版

では、なぜこのベルリン版はいわば「失敗」してしまったのか。

それは、ベルリン版はディズニー映画「ノートルダムの鐘」のテイストを色濃く取り入れていたこと にありました。

 

映画版で登場した、コミカルなキャラクターであるガーゴイル3人組(ロニ、アントワーヌ、チャールズ)も、このベルリン版では登場していました。

 

 

ディズニーテイストたっぷりと思いきや突然の方向転換! 一転してダークな展開に

このベルリン版はディズニー映画版に忠実な楽しいミュージカルかと思いきや、舞台終盤から突然原作ベースの非常にダークな展開に切り替わり、結末としては、かなり陰鬱でナーバスな終わり方になってしまったのです。

途中まではコミカルでまぁ楽しい?展開が続くのに「ラストはこれかよ?!」と なってしまったんですね。

 

 

映画版は、原作とはあまりに違うハッピーエンドであったことなどに賛否がありました。

しかし、ミュージカル版(世界初演のベルリン版)では、ディズニーテイストを色濃く押し出しつつも、中途半端に原作の設定を取り入れてしまったこと。

そして、映画版とは違うラストシーンに戸惑ってしまった人が多かったようです。

 

 

ノートルダムの鐘はコミカル要素は不要だった!

 

そもそも「ノートルダムの鐘」には、コミカル要素や派手な演出はいらなかったんですね。

北米版(劇団四季版)では、ディズニーテイスト(映画版のコミカルな要素や子ども向けな部分)は徹底的に排除されています。それが今回のミュージカルは「大人向き」と言われる理由です。

 

 

ベルリン版は、ザ・ディズニーミュージカルな豪華舞台セットだった!

ベルリン版の初演は1999年です。

1994年に美女と野獣、1997年にはライオンキングと、ブロードウェイで次々とヒット作を連発していたディズニー・シアトリカルは、当然このノートルダムの鐘についても気合充分で挑んだミュージカル作品でした。

 

舞台装置は もうザ・ディズニー・ミュージカルと言える、とても費用のかかったハイテク装置満載のステージでした。

 

フィーバス大ピンチ!!

って感じのヤツですね。プロジェクション映像も決まっていてリアルです。

 

北米版(四季版)のこのシーンでは、ただフロローがフィーバスをナイフで刺すという、シンプルな演出にまとめられています。

 

 

マリア像がフロローの周りを飛び回る?!

また、フロローのビッグナンバーである「ヘル・ファイアー」では マリア像が空中をハイテクに浮遊し、フロローの周りをまるで取り付くかのように飛び回ったというのですから、かなりトリッキーな演出方法が取り入れられていたようです。

 

そんなヘル・ファイアーこわいわ!

 

 

もちろん北米版(四季版)のヘル・ファイアーでは、そんな ポルターガイスト現象のような恐ろしい演出は一切取り入れられません。

 

 

忘れ去られてしまった、鐘の存在

 

ベルリン版にはノートルダムの鐘の象徴とも言える「鐘」は存在しなかったようです。

ですが、「鐘」はあったという意見も頂きましたので、こちらは調査していきます。

 

 

北米版(四季版)では、もうこれみよがしに 超巨大な鐘が6発も備え付けられており、めっちゃエエシーンでその鐘がゆっくりと降りてきて、実際に動きます。

 

この圧巻の鐘を見るだけでも、ミュージカル『ノートルダムの鐘』では大きな感動をおぼえることでしょう。四季版でもその鐘は登場するでしょうから、これは楽しみですね。

 

 

ベルリン版ではエスメラルダの過去について語られていた

ベルリン版では、映画版にはない要素もいくつか加えられていました。

そのうちの一つとして、ベルリン版のエスメラルダは、”奇跡御殿” でジプシー王のクロパンが「期待の新人ダンサー」としてエスメラルダを祭りにデビューさせることを発表するというシーンがありました。

その段階でジプシーたちによる「エスメラルダ」の歌が早くも披露されます。

 

北米版では、1幕のラストのみ歌われる「エスメラルダ」ですが、ベルリン版では何度も何度もエスメラルダエスメラルダと繰り返し歌います。

 

原作での設定年齢によると、エスメラルダは16歳とのことです。エスメラルダは16歳にして”らんちき祭り”にデビューし、即フロローやカジモドを虜にしてしまったんですね。それはそれで凄いことです。

 

北米版(四季版)では、そのシーンはカットされています。エスメラルダは突然祭りの舞台にあらわれる謎の美魔女であり、最初から最後まで生い立ちについては語られることはなく、ミステリアスな存在のままになっています。

 

 

ベルリン版カジモド、ドリュー・サリッチの歌唱力にため息

先にも書きましたが、当時のディズニーミュージカルは、美女と野獣やライオンキングの成功で、イケイケの時代でしたから、このノートルダムの鐘にも相当力を入れていたのは間違いありません。(結果失敗はしましたが)

カジモド役には、ドイツやベルリンミュージカル界隈では知らない人はまずいないであろう有名な歌手、ドリュー・サリッチが世界初演カジモド役を務めました。

 

私、ノートルダムベルリン盤CDを持っていますが、ドリュー・サリッチのカジモドの歌声は極上です。

「メイド・オブ・ストーン」は、ドリューのキーに合わせて作られているので カジモド役殺しのハイトーンの連続になっているんですね。

劇団四季ノートルダムの鐘 カジモドの最高音と渾身のミュージカルナンバーとは

 

ミュージカル「レ・ミゼラブル」初代ジャン・バルジャンのコルム・ウィルキンソンのためにつくられたと言われる、バルジャンのソロ・ナンバー「ブリング・ヒム・ホーム」(彼を帰して)は、後に多くのバルジャン役を苦労させる難曲になっているのは有名な話です。多くのミュージカルナンバーは、オリジナルの人のキーに合わせるんですね。

 

また、もともと英語で作られたミュージカルをドイツ語で上演したので、ノートルダムの鐘のドイツ語翻訳は エリザベートやモーツァルト!のミヒャエル・クンツェが担当しています。ミヒャエル・クンツェは オペラ座の怪人のドイツ語への翻訳も担当しました。クンツェさん、オリジナル以外にも色々仕事してはるんですね。

 

 

ベルリン盤のCDは廃盤になっているものの入手は可能

ベルリン版についてはネットでは殆ど資料は残っていませんが、ベルリン盤ミュージカルCDであれば、廃盤になっているものの、今でも比較的手に入りやすいです。

ですが、ドリュー以外のキャストはもの足りなく感じてしまうかもしれません。北米版のキャストは全員めちゃくちゃ歌ウマですからね。(カジモド役のマイケル・アーデンも含めて)

ベルリンのオーケストラは、若干遠くから鳴っているような感じが少し気になりますが、それでもなかなか重厚で良いです。楽器の数が多いのかも。

 

 

 

北米版には収録されていないナンバーもあります。

四季版の予習としては、このベルリン盤は必ずしも聴いておく必要はありませんが、よりノートルダムを極めたいという人は、このベルリン盤も聞いてみてください。

 

 

ベルリン版での結果をうけて 北米プレミア版ではこうなった

 

北米版では、ベルリン版での反省点?(失敗点?)を受けて、以下のように改良しています。

 

・ディズニー映画のテイストは皆無(ノン・コミカル)

・結末部分だけでなく、全てのシーンや設定において原作にほぼ忠実に改良(最初から最後までシリアスでダークな展開)

・鐘以外の装置については極々シンプルなセットに(ノン・ハイテク)

 

 

ザ・コミカルの象徴である、ガーゴイル3人組についてはもう完全なリストラです。「ガイ・ライク・ユー」という彼らのコミカルなソングすらも一切ありません。

映画版の設定はほぼ解除され、フロローは法に厳格な”判事”から、敬虔な”聖職者”(司祭)へと原作に忠実な職業に変更されました。

 

また、フロローとカジモドとの関係をググッと近づけたことにより、物語の展開により深みを生み出しています。これは今回の北米版(四季版)だけの設定となります。

 

 

ミュージカルノートルダムの鐘のベースとなるのはコレです

ノートルダムの鐘には、他のディズニーミュージカルにはあまり見かけない、注釈がついています。

Based on the Victor Hugo Novel and Songs from the Disney Film

”ヴィクトル・ユーゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」と、ディズニー映画「ノートルダムの鐘」の音楽をベースに”

 

はい。もう言っちゃってますね。

原作ベースのダークな大人向きな展開でやるよー!音楽は映画の通り、アラン・メンケンの楽曲をそのまま使うよー!

と言うことなんですね。

 

はい、よくわかりました。

 

 

まとめ:ミュージカル ノートルダムの鐘 は徹底して「大人向きだよ!」と強調する理由

 

いかがでしたでしょうか。

ミュージカル『ノートルダムの鐘』からディズニーテイスト(子ども向けな部分やコミカルな要素)を排除するに至った経緯と、徹底的に「大人向き」にした理由を、今回の記事で知ってもらえたかと思います。

 

ベルリン版と北米プレミア版(四季版)のラストの違いについてはネタバレになるので書きませんでした。

こちらのあらすじの方では、北米プレミア版のラストまでしっかり書いていますので、気になる人は読んでみてください。

劇団四季新作ミュージカル『ノートルダムの鐘』あらすじ最速チェック(完全ネタバレ注意!)

 

 

実際、今回のノートルダムの鐘は、相当大人向きな内容です。その象徴ともいえるのが、フロローのエスメラルダへの執着です。

 

これは記事の内容も相当大人向きになってしまうことでしょうから、次回以降の機会に書いていこうと思います。

 

 

今回の記事執筆にあたり参考にした記事:

 

 

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この記事を書いた人

禁断J(禁断先生)

観劇ブロガー/オペラ座の怪人専門家。劇場で「禁断さん」と呼ばれるのは恥ずかしいですがもう慣れました。
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